民泊

【民泊許可の3種類】旅館業・特区民泊・民泊新法の違いと正しい選択方法

大阪で民泊を始めたいと考えているものの、「特区民泊・旅館業・民泊新法の違いがよく分からない」「自分の物件にはどの制度が合うのか判断できない」と悩んでいませんか?
民泊事業は制度選択を誤ると、想定した収益が得られなかったり、後から大きな修正コストが発生したりするリスクがあります。

大久保 太一
大久保 太一
本記事では、民泊専門行政書士の私が大阪で民泊を検討する方に向けて、各制度の特徴や実務上のポイントを分かりやすく整理し解説します。
これから民泊事業を検討されている方は、ぜひ参考にしてください!
こんな人におすすめの内容
  1. 特区民泊・旅館業・民泊新法のどれを選ぶべきか迷っている方
  2. 副業として民泊事業を検討している方
  3. 大阪での民泊事業開始にあたり制度・実務を知っておきたい方

大阪で民泊事業を検討する人が増えている理由

1.インバウンド回復と宿泊需要の変化

コロナ禍を経て停滞していたインバウンド需要は、ここ数年で急速に回復しています。

特に大阪は、関西国際空港を起点とした訪日外国人の玄関口として、京都・神戸・奈良へのアクセス拠点にもなっており、短期滞在から中期滞在まで幅広い宿泊ニーズが集中しやすい都市です。

従来のホテルだけでは対応しきれない需要が増える中で、キッチン付き・複数人宿泊が可能な民泊施設は、訪日客からの支持を集めています。

2.大阪市が民泊に積極的な背景

全国的に見ると、民泊に対して厳しい規制を設けている自治体も少なくありません。

しかし大阪市は、国家戦略特区の指定を受けており、特区民泊制度を活用することで、他都市と比べて柔軟な宿泊事業の展開が可能な環境が整っています。

大阪市としても、インバウンドの受け皿を拡大し、観光消費を地域経済に取り込むことを重要な政策の一つとして位置づけています。そのため、一定のルールを守ることを前提に、民泊事業を完全に排除するのではなく、制度として共存させる方向性が取られている点が特徴です。

3.副業・法人参入が増加している現状

民泊事業は、かつては個人の副業というイメージが強い分野でしたが、現在では不動産会社や建設業、投資法人など、本業として取り組む法人の参入も増加しています。

理由としては、宿泊単価の上昇やインバウンド需要の安定化により、長期的な事業計画を立てやすくなった点が挙げられます。

一方で、副業として小規模に始めたい個人にとっても、制度を正しく選べば現実的な運営が可能であり、事業者の幅が広がっているのが現在の大阪の民泊市場です。

民泊事業で最初に考えるべき「制度選択」の考え方

1.制度選択を間違えると失敗する理由

民泊事業において制度選択は、単なる手続きの違いではありません。営業日数、収益モデル、初期投資、将来の拡張性まで大きく左右する重要な判断です。

例えば、「手続きが簡単そう」という理由だけで制度を選んだ結果、営業日数制限により想定していた売上が確保できないケースや、後から制度変更が困難で追加コストが発生するケースも少なくありません。

制度選択の段階で事業全体の方向性がほぼ決まるといっても過言ではありません。

2.特区民泊・旅館業・民泊新法の基本的な立ち位置

3つの制度は、いずれも「宿泊」を提供する点では共通していますが、制度の目的と想定されている事業規模が異なります。

特区民泊は都市部の宿泊不足を補うための制度であり、旅館業は本格的な宿泊施設としての位置づけ、民泊新法は住宅の有効活用を前提とした制度です。

そのため、「どれが一番有利か」を単純に比較するのではなく、自分がどのような形で宿泊事業を行いたいのかを明確にしたうえで選択する必要があります。

3.物件条件と事業目的の整理方法

制度選択を行う前に重要なのが、物件条件と事業目的の整理です。

立地、用途地域、建物の構造、専有面積などの物理的条件に加え、短期収益を重視するのか、長期安定運営を目指すのかといった事業目的を整理することで、選ぶべき制度は自然と絞られてきます。

この整理を行わずに制度だけを先に決めてしまうと、後から「この物件では運営できない」「思ったように利益が出ない」といった問題が発生しやすくなります。

特区民泊を選ぶ場合の実務ポイント

1.向いている物件・エリアの特徴

特区民泊は、都市部で一定の広さを確保できる物件と相性が良い制度です。

最短宿泊日数の要件があるため、観光客だけでなく、出張や中期滞在の需要が見込めるエリアが適しています。

また、駅からのアクセスや周辺環境も重要で、インバウンド需要を取り込むためには、主要観光地や交通拠点への移動がしやすい立地が有利になります。

2.収益モデルと運営上の注意点

特区民泊は年間営業日数の制限がないため、稼働率次第では高い収益性を見込めます。

一方で、最低宿泊日数のルールがあるため、短期回転型のビジネスモデルには向きにくには注意が必要です。

また、近隣住民への配慮や管理体制の整備を怠ると、クレームやトラブルにつながる可能性があります。収益だけでなく、継続的に運営できる体制づくりが重要です。

3.認定取得までの流れと期間感

特区民泊は「認定制度」であり、申請から運営開始までには一定の期間を要します。

物件調査、事前相談、書類準備、現地確認などの工程を踏む必要があり、スケジュールには余裕を持って計画することが不可欠です。

特に初めて民泊事業に取り組む場合は、専門家のサポートを受けながら進めることで、手戻りや不要なコストを防ぐことができます。

旅館業(簡易宿所)を選ぶ場合の実務ポイント

1.旅館業が適している事業者タイプ

旅館業は、宿泊事業を中長期的な本業として取り組みたい事業者に向いています。

法人による運営はもちろん、複数物件の展開や将来的な売却・事業承継まで見据えた計画を立てやすい点が特徴です。

特区民泊や民泊新法と比べると、初期ハードルは高いものの、その分制度としての安定性があり、金融機関や不動産オーナーからの評価も得やすくなります。単発的な収益ではなく、継続性を重視する場合に適した選択肢といえます。

2.初期投資・設備基準の考え方

旅館業では、建築基準や消防設備、衛生管理など、満たすべき要件が多く設定されています。

そのため、初期投資は民泊新法や特区民泊よりも高くなる傾向がありますが、その投資が「事業の信用力」に直結する点は大きな特徴です。

3.長期的な運営安定性とブランディング

旅館業は、営業日数や宿泊日数の制限がなく需要の変動に左右されにくい運営が可能です。

そのため、インバウンド需要だけでなく、国内旅行やビジネス利用など、幅広い客層をターゲットにできます。また、施設名やコンセプトを明確に打ち出すことで、単なる「泊まる場所」ではなく、ブランドとしての価値を築きやすい点も魅力です。

長期的な視点で宿泊事業を育てていきたい場合、旅館業は非常に相性の良い制度といえます。

民泊新法を活用する際の現実的な活用方法

1.民泊新法が向いているケースとは

民泊新法は、住宅を活用して小規模に宿泊事業を行いたい場合に適しています。

すでに所有している物件や、居住用として使っていない住宅を活かしたい人にとっては、初期コストを抑えやすい点が大きなメリットです。

本業として大きな利益を狙うというよりも、副収入の確保や空き家対策として活用するケースが現実的といえます。

2.年間営業日数制限をどう補うか

民泊新法には年間営業日数の上限があり、この制限が収益性を下げる要因になることもあります。

ただし、稼働率の高い時期に集中して運営する、宿泊単価を見直すといった工夫により、一定の収益を確保することは可能です。

また、繁忙期と閑散期を見極めた運営計画を立てることで、無理のない形で制度を活用できます。

3.管理委託・代行サービスの活用戦略

民泊新法では、管理体制の整備が重要になります。

特に遠隔地での運営や、本業が忙しい場合には、管理委託や運営代行サービスの活用が現実的な選択となります。

コストは発生しますが、トラブル対応や清掃管理、ゲスト対応を任せることで、結果的に運営の安定化につながるケースも多く見られます。

まとめ

大阪で民泊事業を成功させるためには、「どの制度が一番有利か」を探すのではなく、自分の物件条件と事業目的に合った制度を選ぶことが最も重要です。

特区民泊は柔軟な運営が可能で、都市型の宿泊需要と相性が良く、旅館業は本格的かつ長期的な事業展開に向いています。一方、民泊新法は小規模・低リスクで始めたい人にとって有効な選択肢です。

制度選択を誤ると、後からの修正に時間とコストがかかります。だからこそ、事前に制度の特徴と実務を理解し、必要に応じて専門家のサポートを受けながら進めることが、失敗しない民泊事業への近道といえるでしょう。

大久保 太一
大久保 太一
当行政書士事務所では、物件選定、収支計画、事業計画書作成、許可取得から運営、法律相談まで伴走的にサポートをしています。最善な方法をご提供しますので、お問い合わせから無料相談お待ちしております。