民泊

【今の時代は旅館業許可一択】旅館業許可のメリットと始め方を解説!

「民泊で本格的に収益を上げたいけれど、旅館業許可を取るべきか迷っている…」「そもそも民泊新法と旅館業許可は何が違うの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

民泊で安定した収益を目指すうえで、どの制度を使って開業するかは、その後の稼働率や利益を大きく左右する重要な選択です。

なかでも「旅館業許可」は、営業日数の制限がなく年間を通じて運営できるため、収益性を重視する方から特に注目されています。

大久保 太一
大久保 太一
本記事では、旅館業許可で民泊を始めるメリットから、取得要件・手続きの流れまで、民泊専門行政書士の私がわかりやすく解説します。これから旅館業許可で民泊を始めたい方の参考となる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
こんな人におすすめの内容
  1. 民泊で本格的に収益を上げたい方
  2. 民泊新法の180日制限に悩んでいる方
  3. 旅館業許可の取得を検討している方

民泊と旅館業許可の関係を理解する

1.そもそも旅館業とは

旅館業とは、旅館業法において「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。ここでいう「宿泊」とは、寝具を使って施設を利用することを指します。

「寝具を提供し」「宿泊料を受け取り」「人を宿泊させる」という3つがそろって初めて、旅館業に該当します。

判断に迷いやすい部分ですが、厚生労働省は旅館業に当たるかどうかの基準として、宿泊料徴収の有無、社会性の有無、継続反復性の有無、生活の本拠かどうか、の4点を示しています。

民泊もこの旅館業の考え方が土台となるため、まずはこの定義を押さえておくことが第一歩です。

2.民泊を運営する3つの制度の違い

実は「民泊」とひとことで言っても、運営に使える制度は大きく3つに分かれます。それぞれ手続きや制限が異なります。

1つ目は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」です。届出だけで始められる手軽さがある一方、年間の営業日数が180日以内に制限されるという大きな特徴があります。

2つ目は「国家戦略特別区域法(特区民泊)」です。大阪市など特区に指定された地域でのみ利用でき、営業日数の上限はありませんが、最低宿泊日数などの要件があります。

3つ目が、本記事のテーマである「旅館業法(旅館業許可)」です。許可制でハードルは高いものの、営業日数の制限がなく、もっとも自由度の高い運営が可能です。

3.民泊で用いる「簡易宿所営業」とは

旅館業許可は、さらに旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つに分かれます。

このうち、一般的な民泊で用いられるのが「簡易宿所営業」です。宿泊する場所を多数人で共用する構造の施設が対象で、比較的小規模な物件でも取得を目指しやすい形態です。

もちろん、規模の大きい物件であれば旅館・ホテル営業許可を選ぶこともあります。ご自身の物件がどの形態に該当するかは、構造や客室数によって変わります。

どの形態が適しているか判断が難しい場合は、早い段階で専門家に相談すると安心です。

大久保 太一
大久保 太一
「民泊新法で始めたものの、180日制限で収益が伸び悩み、後から旅館業許可に切り替えたい」というご相談は非常に多いです。最初にどの制度で始めるかは、慎重に選びましょう。

「稼ぐ民泊」に旅館業許可が向いている理由

1.最大の魅力は「営業日数の制限がない」こと

旅館業許可の最大のメリットは、営業日数に上限がないことです。

民泊新法では年間180日までしか営業できないため、単純計算で1年の半分は稼働させられません。これは収益に直結する大きな制約です。

一方、旅館業許可であれば365日フル稼働が可能です。需要のある限り宿泊を受け入れられるため、収益の最大化を目指せます。

「民泊で本格的に稼ぎたい」という方にとって、この違いは決定的といえるでしょう。

2.収益性・対外的な信頼性の面での強み

営業日数の自由さに加え、旅館業許可には信頼性という強みもあります。

正式な許可を得た宿泊施設であることは、ゲストや予約サイト、金融機関に対しての安心材料になります。

また、法人による本格的な宿泊事業として展開しやすく、複数物件の運営や事業拡大を見据えた場合にも適しています。

短期的な副収入ではなく、事業として民泊に取り組む方ほど、旅館業許可のメリットを享受しやすいといえます。

3.注意すべきデメリット

一方で、旅館業許可にはデメリットもあります。最大のものは、取得要件が厳しいことです。

立地(用途地域)や建物の構造、消防設備など、満たすべき基準が民泊新法よりも格段に多くなります。

また、これらの基準を満たすための工事費用や、場合によっては建物の用途変更が必要になるなど、初期コストがかさむ傾向があります。

とはいえ、これらは「長く安定して稼ぐための投資」と捉えることもできます。要件をクリアできる物件かどうかを、事前にしっかり見極めることが重要です。

旅館業許可を取得するための主な要件

1.立地の要件

まず確認したいのが、その物件が旅館業を営業できる場所にあるかどうかです。

都市計画法では、旅館業を営業できる用途地域が定められています。具体的には、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域などが対象です(第一種住居地域は延べ床面積3,000㎡以下に限られます)。

これらの区域外では、そもそも旅館業を営業することができません。

さらに、自治体によっては独自の条例で規制を設けている場合もあるため、物件の契約前に用途地域と条例の両方を確認することが欠かせません。

2.建物の要件

旅館業に使う建物は、建築基準法上の「特殊建築物」として、一般の建物より厳しい基準が課されます。

申請時には、建物が建築基準法に適合していることを示す「検査済証」の写しが求められます。手元にない場合は、取得の可否を早めに確認しておきましょう。

また、もともと住宅などとして使われていた建物を旅館として使う場合、旅館業に使う部分の面積が200㎡を超えるときは「用途変更」の建築確認申請が必要になります。

この用途変更は時間も費用もかかるため、物件選びの段階で見落とさないよう注意が必要です。

3.構造設備の要件

建物の中身、つまり構造設備にも細かな基準があります。

簡易宿所の場合、客室の延床面積は宿泊者10人以上で33㎡以上、10人未満なら1人あたり3.3㎡以上が必要です。加えて、換気・採光・照明・排水などの設備も求められます。

さらに、フロントにあたる「玄関帳場」や、それに代わる本人確認・鍵の受け渡し設備、洗面・便所・浴室などについても、それぞれ基準が定められています。

これらは物件ごとに判断が分かれる部分が多いため、図面をもとに保健所と事前協議しながら進めるのが確実です。

消防法・その他の関連法令もクリアする

1.消防法令適合通知書の取得

旅館業許可の申請では、「消防法令適合通知書」の添付が必須です。

これは、その建物が消防法令に適合していることを、管轄の消防本部が確認して通知する書面です。

取得には、消防設備の配置図などを持参して消防本部と事前協議し、現地調査を経る必要があります。

物件が決まったら、契約前にまず消防本部へ問い合わせることをおすすめします。後から大がかりな消防工事が必要と判明するケースを避けられます。

2.見落としやすい関連法令

旅館業許可と直接関わる法令以外にも、確認すべき関連法令が数多くあります。

たとえば、宿泊者に食事を提供する場合は食品衛生法上の営業許可が必要です。排水の処理については浄化槽法や下水道法が関わってきます。

そのほか、受水槽の容量によっては水道法、宿泊者以外も浴室を使う場合は公衆浴場法など、施設の設備次第で必要な手続きが変わります。

自分の施設にどの法令が関係するのか、開業前に洗い出しておくことがトラブル防止につながります。

3.近隣・周辺環境への配慮

法令だけでなく、周辺環境への配慮も許可のうえで重要です。

施設の周囲150m以内に学校や児童福祉施設などがある場合、施設設置者へ意見照会が行われることがあります。

また、宿泊施設は騒音やゴミ出しなどで近隣トラブルが起きやすいため、自治体によっては住民への説明や苦情窓口の設置が求められます。

地域と良好な関係を築くことは、長期的に安定した運営を続けるうえでも欠かせません。

大久保 太一
大久保 太一
消防設備工事を依頼する際は、その会社が民泊・旅館業の工事に慣れているかを必ず確認しましょう。不慣れな業者に頼むと、時間も費用も余計にかかってしまうことがあります。

旅館業許可取得から民泊開業までの流れ

1.事前相談から許可証交付までのステップ

旅館業許可の取得は、おおむね次の流れで進みます。

まずは保健所への「事前相談」です。平面図などを持参し、施設が基準を満たせそうか説明を受けます。次に、書類がそろった段階で「事前審査」を受けます。

問題がなければ、手数料を添えて「申請書を提出」し、その後「実地調査」で図面と現地が一致しているかを確認されます。

最終的な書類審査を経て要件を満たすと確認されれば、「許可証が交付」され、ここで初めて営業が可能になります。

2.申請に必要な書類一覧

申請には多くの書類が必要です。代表的なものを挙げます。

旅館業営業許可申請書のほか、施設の平面図・配置図・外観図、周辺の同心円(100m・150m・300m)を記載した地図などが求められます。

さらに、建物の検査済証の写し、消防法令適合通知書、登記事項証明書、物件が借り物件の場合は使用承諾書や賃貸借契約書の写しなども必要です。

書類の不備は審査の遅れに直結するため、最新の内容で正確に準備することが大切です。

3.取得にかかる期間と費用の目安

気になる期間と費用ですが、いずれも物件の状況によって大きく変わります。

期間は、事前相談から許可証交付まで、順調に進んでもおおむね数週間から数か月を見ておくとよいでしょう。用途変更や消防工事が必要な場合は、さらに時間がかかります。

費用面では、申請手数料(自治体により異なりますが2万円前後)に加え、消防・改修などの工事費、専門家に依頼する場合の報酬などが発生します。

初期費用は決して小さくありませんが、営業日数の制限なく長期的に稼げることを踏まえれば、十分に回収を見込める投資といえます。

まとめ

民泊で本格的に収益を上げたいなら、営業日数の制限がない旅館業許可は非常に有力な選択肢です。民泊新法の180日制限に縛られず、年間を通じて安定した運営ができる点は、事業としての民泊にとって大きな強みとなります。

一方で、旅館業許可の取得には、立地・建物・構造設備・消防・関連法令など、クリアすべき要件が数多くあります。物件選びの段階でこれらを見落とすと、想定外の工事費や手続きが発生し、開業が遠のいてしまうこともあります。

だからこそ、「稼げる民泊」を実現する第一歩は、その物件が旅館業許可を取得できるかどうかを早い段階で正しく見極めることです。要件を一つひとつ確認し、必要な準備を計画的に進めることで、長く安定した民泊経営への道が開けます。

大久保 太一
大久保 太一
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