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【令和8年10月に決定!?】大阪市の旅館業条例改正|3つの新基準と実務面を解説

「令和8年、大阪市で旅館業の条例が変わるって聞いたけど、うちの物件は大丈夫…?」そんな不安をお持ちではないでしょうか。

大阪市は令和8年、「大阪市旅館業法の施行等に関する条例」を改正する案を公表しました。改正の柱は、①施設の構造設備基準(RC・SRC造)の新設、②従事者の常駐義務化、③近隣周知規定の拡大、という3つです。とくに木造・鉄骨造の物件で旅館業を考えている方には、見過ごせない内容になっています。

この記事では、行政書士の視点から、改正案の中身を「何が・誰に・いつから」変わるのかに絞って、できるだけやさしく整理します。正式な内容は今後の議会審議で確定しますが、実務上は公表案ベースで早めに備えておくのが安心です。

大久保 太一
大久保 太一
本記事では、令和8年の大阪市旅館業条例改正案について、実務でおさえるべきポイントと、いま準備できることを解説します。改正案ベースの整理ですが、早めの備えが安心につながります。最後までご覧ください。
こんな人におすすめの内容
  1. 大阪市で旅館業許可を取って民泊・宿泊事業を始めたい方
  2. 木造・鉄骨造のアパートや長屋を宿泊施設に転用したい方
  3. すでに旅館業を営んでいて、改正の影響が気になる方

令和8年 大阪市の旅館業条例改正とは(全体像)

1.改正される「大阪市旅館業法の施行等に関する条例」とは

大阪市には、旅館業法を市内で運用するための独自ルールを定めた「大阪市旅館業法の施行等に関する条例」があります。この条例では、旅館業の施設が満たすべき構造設備の基準や、衛生管理のために営業者が講じるべき措置などが決められています。今回、大阪市はこの条例を改正する案を公表しました。

正式な決定は市会(市議会)での議決を経てからですが、実務上は公表された改正案をベースに準備を進めておくのが安全です。

2.改正の3つのポイント(構造・常駐・周知)

改正案の柱は、次の3つです。①住居のある建物で旅館業を営む場合の構造をRC造・SRC造とする「構造設備基準」の新設、②宿泊者の滞在中に従事者が施設にいる「常駐義務」の新設、③近隣住民への周知が必要になる範囲を広げる「近隣周知規定」の見直し。

いずれも、騒音やごみをめぐる近隣トラブルを未然に防ぐことがねらいとされています。

3.対象になるのは誰か(新規・既存の別)

3つのポイントは、適用される範囲が少しずつ異なります。

構造設備基準と近隣周知は主に新規申請が対象ですが、常駐義務は新規・既存を問わずすべての施設に適用されるとされています。すでに営業している方も無関係ではない、という点はおさえておきましょう。

改正案の3本柱は「構造(RC・SRC)」「常駐」「周知」。なかでも常駐義務は既存施設にも及ぶ点に注意しておきましょう。

なぜ改正されるのか:特区民泊終了と苦情データ

1.特区民泊の新規受付終了(令和8年5月29日)という転機

大阪市では、住宅を使った宿泊事業の多くが「特区民泊」で運営されてきましたが、騒音やごみなどの近隣トラブルが多発したことから、令和8年5月29日をもって特区民泊の新規受付が終了しました。今後は、民泊事業を考える方が旅館業の許可を取得して、特区民泊と同じような事業を行うことが見込まれています。

つまり、旅館業許可への流れが強まることを前提に、旅館業側のルールを整えておく——それが今回の改正の位置づけです。

2.騒音苦情はどの構造で多いのか

大阪市が示した資料では、騒音苦情の発生割合が建物の構造によって大きく異なることが読み取れます。

木造がおよそ6割、鉄骨造が約2.5割を占める一方で、RC造は約9%、SRC造は約2%にとどまります。この「木造・鉄骨造で苦情が多い」というデータが、構造をRC・SRCに求める基準の根拠とされています。

3.「旅館業への移行」を見据えた規制強化

特区民泊から旅館業へと事業者が移っていくと見込まれるなかで、近隣の生活環境を守るために、旅館業側の基準を先に強化しておく——それが今回の改正の背景です。

実際、施設数の増加にともなって苦情件数も増えている状況がうかがえます。

背景は「特区民泊の受付終了 → 旅館業への移行増」と、「木造・鉄骨造で騒音苦情が多い」というデータの2つです。

【改正点①】構造設備基準(RC・SRC造)の新設

1.どんな物件が対象になるのか

改正案では、住居が存在する建物(マンションや長屋など)で旅館業を営む場合、その建物の構造を鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とする基準が新たに設けられます。

木造や鉄骨造の建物をそのまま宿泊施設にするケースは、この基準に引っかかる可能性があるため注意が必要です。

2.適用除外となる2つのケース

ただし、木造・鉄骨造であっても、次のいずれかを満たせば適用除外になるとされています。ひとつは遮音性能試験の結果を添付できる場合、もうひとつは建築基準法令に適合していることの証明書を取得できる場合です。構造だけで一律にNGになるわけではない点は、覚えておくと安心です。

なお、この構造設備基準は新規申請のほか、改正後に構造を変更する場合にも適用される見込みです。

3.木造・鉄骨造の転用を検討中の方への影響

木造アパートや長屋のリノベーションで宿泊事業を、と考えている方にとって、この改正は計画そのものを左右しかねません。

遮音性能試験や適合証明の準備には時間も費用もかかるため、施行前の早い段階で見通しを立てておくことをおすすめします。

木造・鉄骨造でも「遮音性能試験」または「建築基準法令適合証明」で適用除外になる道があります。準備には時間がかかるので早めの着手を。

【改正点②】従事者の常駐義務化

1.「常駐」とは何か

改正案では、宿泊者が滞在している間、施設に従事者が常駐することが義務づけられます。

これは、宿泊者の出入りの確認や、騒音・ごみ出しなどのトラブルに人が直接対応できる体制を確保することがねらいとされています。

2.新規・既存すべてに適用される

この常駐義務は、これから申請する施設だけでなく、すでに営業している施設にも適用されるとされている点が大きな特徴です。

人員配置や運営コストに直結するため、既存の事業者ほど早めに体制を見直しておく必要があります。

3.ICT・遠隔管理との関係

「無人運営やICTでの遠隔管理はどうなるの?」という疑問もあるでしょう。市の説明では、ICTによるチェックイン業務などの省力化を否定するものではないとされています。

ただし、それはあくまで業務の効率化であって、常駐そのものの代わりにはならないという整理です。

大久保 太一
大久保 太一
常駐義務は既存施設にも及ぶため、影響が大きいポイントです。「今の運営体制で対応できるか」を早めにチェックしておきましょう。

常駐義務は新規・既存すべてに適用。ICTによる省力化は認められますが、「常駐の代替」にはならない、という整理です。

【改正点③】近隣周知の拡大と、今すぐ始める実務対応

1.周知の閾値が33㎡→200㎡に拡大

改正案では、近隣住民への周知が必要になる施設の面積のラインが、これまでの33㎡から200㎡へと引き上げられます。

これにより、より多くの施設が近隣への周知の対象になります。この見直しは主に新規申請に適用される見込みです。

2.周知事項に「騒音防止策・緊急時対応」が追加

周知の対象範囲が広がるだけでなく、周知すべき内容にも「騒音防止策」と「緊急時の対応」が加わります。

近隣の方に、どんな対策をとり、何かあったときにどう対応するのかをあらかじめ伝えておく——トラブルの芽を早めに摘む狙いといえます。

3.施行スケジュールと、今から準備できること

公表案ベースのスケジュールでは、令和8年7月末にパブリックコメントの結果が公表され(改正内容の修正はなし)、その後の議会での議決を経て、令和8年10月ごろの公布・施行が見込まれています。

正式決定前のため今後変わる可能性はありますが、施行までに物件・運営体制・近隣対応を点検しておくことが、いちばんの備えになります。

スケジュール見込み:令和8年7月末にパブコメ結果公表 → 8〜9月に議会 → 10月ごろ施行見込み。※正式決定前のため、最新は大阪市の公式発表をご確認ください。

まとめ:改正に備えて今できること

令和8年の大阪市旅館業条例の改正案は、①構造設備基準(RC・SRC造)の新設、②従事者の常駐義務化、③近隣周知の拡大、という3つの柱で構成されています。いずれも、近隣の生活環境を守りながら旅館業への移行を進めるための見直しです。

とくに、常駐義務は既存施設にも適用され、構造基準は木造・鉄骨造の転用計画に影響します。一方で、構造基準には遮音性能試験や建築基準法令適合証明による適用除外の道も用意されています。「自分の物件・運営はどれに当てはまるのか」を早めに整理することが、あわてないための第一歩です。

なお、本記事は公表された改正案をもとにした整理であり、正式な内容は今後の議会審議等で変わる可能性があります。最新の情報は大阪市の公式発表もあわせてご確認ください。

大久保 太一
大久保 太一
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