民泊

【宿泊費の料金設定】最重要!収益アップを目指すための価格戦略と実践ポイント

「民泊を始めたいけれど、価格設定が難しい…」「周辺と比べて高くすると予約が入らないのでは?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?

民泊経営において価格は、収益性だけでなく稼働率やゲスト満足度にも直結する重要な要素です。

大久保 太一
大久保 太一
この記事では、相場の把握方法から差別化ポイント、成功事例までを自身でも民泊経営している民泊専門行政書士の私が解説します。これから民泊を始める方の参考になる情報を記載しておりますので是非ご一読ください!
こんな人におすすめの内容
  1. これから民泊を始めようと考えている方
  2. 現在民泊を運営しており価格設定に悩んでいる方
  3. Airbnbや楽天トラベル等のサイトで料金の最適化に課題を感じている方

民泊の料金設定が重要な理由

民泊運営において、料金設定は単なる価格の決定ではなく、収益性や集客力、ブランディングにも直結する極めて重要な要素です。適切な価格は利益を確保するだけでなく、ゲストから選ばれる要因となり、安定した運営につながります。

まず、価格は宿泊者にとって最も目に入る情報のひとつです。同じエリアで複数の宿泊先がある場合、価格の高低は選ばれるかどうかの判断材料になります。価格が高すぎると敬遠され、逆に安すぎると「質が低いのでは」と不安を与えてしまうリスクもあります。

しっかりとした価格戦略を立てることで、競合との差別化や顧客満足度の向上にもつながります。設備やサービス内容と価格が釣り合っていれば、ゲストは納得して予約し、ポジティブなレビューを残してくれる可能性が高まります。

さらに、価格の設定次第では、繁忙期と閑散期の収益バランスも調整できるようになります。民泊事業者にとって価格は“収益のレバー”であり、戦略的に動かすことで経営の安定を図ることが可能なのです。

料金設定の基本的な考え方

民泊の料金設定を行う際は、まず「いくらで貸せば利益が出るのか」という損益分岐点(どこから黒字になるのか)明確に把握することが基本となります。そのためには、固定費と変動費を正確に整理する必要があります。

1.固定費と変動費の整理

固定費には、家賃・住宅ローン・光熱費の基本料金・Wi-Fiなどの通信費が含まれ、これは宿泊者の有無に関係なく発生します。

一方、変動費は清掃代や消耗品、予約サイトの手数料など、宿泊者が入るたびに変動する費用です。これらのコスト構造を明確にし、最低限必要な利益を加味することで、採算の取れる料金の下限が見えてきます。

2.目標利益に基づく料金設定

重要なのは、目標とする収益額から逆算して料金を決める方法です。

たとえば、月に30万円の利益を出したい場合、稼働率や想定予約数から1泊あたりの目標価格を導き出します。この「逆算型」の価格設定は、計画的な経営を可能にし、赤字を避けるために有効です。

3.相場を考慮した調整

周辺エリアの相場とのバランスを取る視点も欠かせません。地域の相場より大きく外れた価格設定は、予約数に大きな影響を与える可能性があります

価格競争に巻き込まれず、かつ適正な価格で勝負するには、近隣の民泊施設の設備や立地、レビューなども比較しながら、差別化ポイントを意識した料金設定が求められます。

民泊プラットフォームごとの価格設定の違い

民泊の料金設定は、掲載するプラットフォームによっても考え方が異なります。特にAirbnbとBooking.comでは、料金の表示形式や手数料の計算方法に違いがあるため、同じ感覚で設定すると収益に誤差が出る可能性があります

1.Airbnbの特徴と料金設定方法

Airbnbでは、宿泊料金に加えて「清掃費」や「サービス料」を別で設定することができ、ゲストにはそれらを加算した総額が表示されます。

そのため、ホストとしては「見せ方」を工夫する余地があります。たとえば、基本料金を抑えて清掃費を高めに設定することで、短期滞在よりも長期滞在を促すような工夫が可能です。

2.Booking.comの特徴と手数料の影響

Booking.comでは手数料がホスト負担となり、表示価格がゲストにとっての支払総額となるため、Airbnbよりも実質的な収入が減るケースもあります

そのため、同じ価格設定ではなく、プラットフォームごとに収益シミュレーションを行い、調整が必要です。

3.収益に影響を与える価格設定の重要性

手数料の違いを把握せずに一律の料金設定をしてしまうと、「予約は入るが利益が残らない」といった問題が生じることもあります。

各プラットフォームの手数料構造や、追加費用の有無を理解した上で、収支が合う価格設計を行うことが重要です

 シーズン・イベントに応じた価格変動の重要性

民泊の収益を最大化するには、シーズンやイベントに応じて価格を柔軟に調整することが不可欠です。旅行需要は一年を通して一定ではなく、観光シーズンや大型イベントの開催時には大幅に上昇します。反対に、オフシーズンや平日は需要が落ち込みがちです。

1.繁忙期の価格設定

夏休みや年末年始、ゴールデンウィークなどは予約が集中するため、価格を上げても成約率に影響は少なく、むしろ単価アップによる収益向上が期待できます。こうしたハイシーズンには積極的に価格を引き上げることが重要です。

2.閑散期の価格設定や地域イベントを活用した価格調整

閑散期は価格を抑えることで稼働率を確保し、トータルの収益を安定させる戦略が有効です。

また、地域の祭りや国際イベント、コンサート、スポーツ大会などの開催も価格調整の好機となります。これらの情報は自治体の観光サイトやイベントカレンダーなどで早期に把握できるため、事前に価格を調整しておくことで、競合よりも一歩先に動けます。

重要なのは、価格を固定するのではなく、常に需要を見ながら柔軟に見直す姿勢です。適切な価格変動は予約数の安定だけでなく、リピーターの獲得やゲスト満足度の向上にもつながります。

ダイナミックプライシングの導入と活用方法

近年の民泊運営において注目されているのが「ダイナミックプライシング」です。これは、需要や競合の動向、予約状況などをもとに、宿泊料金を自動で変動させる価格戦略で、航空券やホテル業界ではすでに一般的に使われています。

1.ダイナミックプライシングのツール

ダイナミックプライシングのツールを民泊に応用することで、手動で価格を調整する手間を省きながらも、需要の高まりを逃さず適正価格を維持できます。代表的なツールとしては「PriceLabs」「Beyond」「Wheelhouse」などがあり、いずれもAirbnbやBooking.comなどのプラットフォームと連携可能です。

2.ツールを活用した自動化

民泊の各種ツールは過去の予約データや地域のイベント情報、競合の価格を分析して最適な料金を自動で算出してくれるため、初心者でも安心して導入できます。特に運営物件数が増えると、手動での調整が難しくなるため、ダイナミックプライシングの導入は効率的かつ収益向上の鍵となります。

ただし、全てをツールに任せきりにするのではなく、自分自身でも地域特性やリピーターの傾向を分析し、必要に応じて手動で微調整する柔軟性も持つことが重要です。最適な価格運用には「自動」と「判断」のバランスが求められます。

集客力を高める価格の見せ方とブランディング

価格設定は単なる「数字」ではなく、ゲストが宿泊先を選ぶ際の“印象”に直結するブランディングの要素でもあります。安さだけを売りにすると、短期的には予約が増えても、利益が出なかったり、クレームにつながったりするリスクがあります。

1.納得感のある価格設定

重要なのが、価格に“納得感”を持たせる工夫です。

たとえば、写真をプロに依頼して物件の魅力を最大限に引き出したり、内装や設備に統一感を持たせたりすることで、「この価格なら泊まりたい」と思わせる価値を演出できます。

2.レビューの重要性

レビューの内容や数も価格の妥当性を判断する材料になります。ポジティブなレビューが多く、ホストとのコミュニケーションが丁寧であることが伝われば、多少高めの価格でも安心感から選ばれやすくなります。

さらに、ターゲット層を明確にし、その層に合わせた価格設定と打ち出し方を工夫することが、リピート率やブランド力の向上につながります。

たとえばファミリー向けであれば「子連れ歓迎」、ビジネスマン向けであれば「駅近・Wi-Fi完備」など、価格と設備をセットで訴求することが効果的です。

結果として、価格は「安さ」ではなく「価値の見せ方」で競争力を高めるツールとなり、ブランド力のある民泊運営を実現する鍵となります。

成功する民泊価格戦略のポイントと実例

民泊運営で安定した収益を得るためには、戦略的な価格設定が不可欠です。

成功する民泊ホストに共通しているのは、「相場を理解し、柔軟に価格を調整しながら、差別化された価値を提供している」という点です。

価格は単なる金額ではなく、ゲストとの信頼関係を築くための“メッセージ”でもあります。

1.ブランディングを意識した価格設定

大阪市内でファミリー層向けに運営している物件では、周辺よりもやや高めの価格設定ながら、「子連れOK」「ベビーベッド完備」「キッチンあり」などの付加価値を訴求することで高い稼働率を維持しています。このように、ターゲットに合わせた価格とサービスのバランスを意識することが成功の鍵です。

大久保 太一
大久保 太一
民泊運営は日々変化する市場環境の中で、柔軟かつスピーディな対応が求められます。だからこそ、価格設定も「固定」ではなく「進化」させる視点を持ち続けましょう。 適切な価格戦略は、単なる収益の増加にとどまらず、ホストとしての信頼とブランド価値を高めてくれます

2.シーズンごとの価格調整

平日と週末、ハイシーズンとローシーズンで価格をきめ細かく変動させることで、稼働率と単価の最適化を実現しています。

特に週末やイベント時には強気の価格設定をしつつ、レビューの質を高めて高単価でも選ばれる物件づくりを徹底しています。

3.成功例の共通点

価格だけに頼らず、「この宿泊施設に泊まりたい」と思わせるストーリー性や魅力づけが重要です。ロケーションや内装、写真の見せ方、ホストの対応などが総合的に評価されてこそ、価格戦略は活きてきます。

民泊経営は“薄利多売”では長続きしません。

「自分の宿がこの価格で選ばれる理由」をしっかりと提示できる運営こそが、持続的に利益を出す道です。

 まとめ

民泊運営における価格設定は、単に相場を調べて設定するだけでは不十分です。ターゲットや物件の特性、周辺の競合、シーズンやイベントの影響など、さまざまな要素を考慮した「戦略的な設計」が必要です。

本記事で紹介したように、基礎的な相場の把握は出発点に過ぎず、そこからどのように差別化していくかが民泊経営の成否を分けます。ダイナミックプライシングを活用することで手間を軽減しつつ、より的確な価格運用が可能になり、ブランディングを強化することで“選ばれる宿”になることができます。

そして、価格は「価値の表現」であり、「信頼の証」でもあります。 安さを競うのではなく、価格に見合う体験や安心感を提供することが、長期的な収益向上につながります。

大久保 太一
大久保 太一
当行政書士事務所では、物件選定、収支計画、事業計画書作成、許可取得から運営、法律相談まで伴走的にサポートをしています。最善な方法をご提供しますので、お問い合わせから無料相談お待ちしております。