民泊を始めたいと思っても、「何から手をつければいいのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
民泊は将来性のあるビジネスで、不労所得を目指す方にも人気です。しかし、開業には許可申請や届出など複雑な手続きが必要で、民泊の種類によって進め方も異なります。
- ⺠泊を始めたいけど、何から⼿をつけたら良いのかわからない
- 法律の知識がなく、⺠泊を開業するのにハードルの⾼さを感じている
- ⺠泊運営に失敗して損をするのだけは避けたい
⺠泊とは?

⺠泊とは、個⼈や法⼈が所有する住宅や空き物件を短期間、旅⾏者に貸し出す宿泊サービスです。ホテルや旅館と異なり、ゲストは地元の⽣活を体験できることが魅⼒です。
⽇本では「住宅宿泊事業法」(⺠泊新法)や「特区⺠泊」に基づいて運営され、法的な⼿続きを経て認可が必要です。⺠泊は観光地だけでなく、地⽅の地域活性化にも貢献しており、空き家や未使⽤の物件を有効活⽤する⼿段としても注⽬されています。
⺠泊の始め⽅

⺠泊を始めるには、以下の6つのステップを順番に進めることが必要です。
- ⺠泊が可能な物件を探す
- 地域の規制や条件を⾃治体に確認
- 保健所へ必要書類の提出
- ゲストが快適に過ごせる環境づくり
- 写真撮影
- 宿泊サイトへ登録
それぞれの⼿順を詳しく解説します。
⺠泊が可能な物件を探す
⺠泊を運営するためには、まず適切な物件を⾒つける必要があります。
以下の点を考慮しましょう。
- ⽴地:観光地や交通の便が良い場所が理想的です。駅に近い物件や観光スポット周辺は、集客⼒が⾼い傾向にあります。
- 物件の種類:アパート、⼀⼾建て、マンションなど、どのタイプが良いかはターゲットとするゲスト層に応じて選びます。家族連れなら広めの物件、⼀⼈旅の旅⾏者ならコンパクトな物件が適しています。
- 物件の種類:アパート、⼀⼾建て、マンションなど、どのタイプが良いかはターゲットとするゲスト層に応じて選びます。家族連れなら広めの物件、⼀⼈旅の旅⾏者ならコンパクトな物件が適しています。
- 条件:⺠泊として利⽤できる物件かどうかを確認しましょう。特にマンションの場合、管理規約で⺠泊が禁⽌されているケースもあります。
地域の規制や条件を⾃治体に確認
⺠泊を運営する際は、地域ごとの法規制や条件に従わなければなりません。以下のポイントを事前に確認しましょう。
- 住宅宿泊事業法:⽇本では、住宅宿泊事業法に基づいて⺠泊を運営する必要があります。これは、年間の宿泊⽇数が180 ⽇を超えない範囲で許可されています。
- 特区⺠泊:地域によっては、特定の条件下で特区⺠泊制度が適⽤され、より⾃由に⺠泊が可能になるケースもあります。
- ⾃治体の規制:各地域には独⾃の規制がある場合があるため、物件が所在する⾃治体に事前に問い合わせを⾏いましょう。
保健所へ必要書類の提出
次に、必要な許可を取得するために、保健所に書類を提出します。これは、⺠泊が衛⽣的かつ安全に運営されるための重要なプロセスです。提出する書類は以下の通りです。
- 事業者の個⼈情報:申請者の⽒名や住所などの基本情報。
- 物件情報:物件の住所、構造、⾯積など。
- 消防法令適合通知書:消防署から取得する必要があります。
- 書類の準備が整ったら、保健所に申請し、認可を待ちます。認可が下りるまでに時間がかかる場合があるので、計画的に進めましょう。
写真撮影
⺠泊の集客には、物件の魅⼒を伝える写真が重要です。
以下のポイントに注意して、プロフェッショナルな写真を撮影しましょう。
- 明るい照明:部屋が明るく広く⾒えるように、⾃然光を活かして撮影します。
広⾓レンズの使⽤:部屋全体を写すために広⾓レンズを使うと、空間の広がりを感じさせます。 - 重要なポイントを強調:リビングルーム、ベッドルーム、バスルーム、キッチンなど、ゲストが重要視する箇所をしっかり撮影しましょう。
質の⾼い写真は、宿泊予約サイトでの⾒栄えを良くし、より多くのゲストを引き付ける要素となります。
宿泊サイトへ登録
最後に、⺠泊運営のために宿泊予約サイトに登録します。代表的なプラットフォームは以下の通りです。
- Airbnb:世界的に有名な⺠泊サイトで、多くの旅⾏者が利⽤しています。初⼼者にもわかりやすいインターフェースと充実したサポートが特徴です。
- Booking.com:ホテルや宿泊施設の予約で広く利⽤されているプラットフォームで、⺠泊物件の登録も可能です。
- 楽天トラベルやじゃらん:国内の旅⾏者向けサイトも活⽤できます。
登録後は、物件の紹介⽂や価格設定を⾏い、実際に予約を受け付けられる状態にしましょう。
価格設定は、近隣の同様の物件を参考にしつつ、季節やイベントに合わせて柔軟に変えることが⼤切です。
開業に必要な費⽤は?

⺠泊を始める際には、いくつかの費⽤が発⽣します。
これらは初期投資として準備しておくべき項⽬です。ここでは、⺠泊運営をスタートするために必要な費⽤について、具体的に解説します。
物件費⽤
⺠泊を運営するためには、まず物件の取得または賃貸が必要です。物件費⽤には以下のような項⽬が含まれます。
- 購⼊費⽤:もし物件を購⼊する場合、⼟地や建物の購⼊費⽤が発⽣します。都市部や観光地での物件購⼊は⾼額になる可能性がありますが、地⽅では⽐較的安価な物件も⾒つかるかもしれません。
- 賃貸物件の初期費⽤:賃貸の場合、敷⾦・礼⾦、仲介⼿数料、最初の家賃などの初期費⽤が必要です。賃貸契約の際には、物件の管理規約で⺠泊が許可されているかどうかを確認しましょう。
リフォーム・内装費用
民泊に適した物件が見つかったら、まずは宿泊施設として使えるよう、リフォームや内装の整備が必要になります。
特に、築年数が古かったり長期間使われていなかった物件の場合は、そのままでは快適に宿泊できないため、キッチンやバスルームのリフォーム、床や壁の補修、設備の交換といった改装工事が必要になるケースが多いです。
物件の状態によってリフォーム費用は大きく異なり、数十万円で済むこともあれば、数百万円かかることもあります。
また、宿泊施設として機能させるには、家具や家電の購入も欠かせません。ベッドやソファ、照明、カーテンなど、ゲストが快適に過ごせる空間を整えるための費用も事前に見積もっておくことが大切です。
許可申請費用
民泊は法的な手続きを経て運営する必要があり、無許可営業は罰則の対象となります。運営する地域や民泊の種類によって、必要な申請内容が異なるため、事前の確認が欠かせません。
たとえば、住宅宿泊事業法に基づいて営業を行う場合、地域の自治体に届け出を行い、2〜3万円程度の申請手数料が発生します。
また、大都市圏など特区に指定されたエリアでは、「特区民泊」として別途認可を受ける必要があり、こちらも数万円程度の申請費用が必要です。スムーズな開業を目指すためには、こうした申請にかかる費用や手続きを早めに把握しておくことが重要です。
設備費用
民泊施設では、家具・家電以外にも多くの設備が必要になります。特に、ゲストの快適さと安全性を保つための環境づくりは非常に重要です。
まず欠かせないのがインターネット環境です。
今や多くの旅行者にとってWi-Fiは必須のサービスであり、高速回線の導入やルーターの設置、月々の通信費が必要になります。
また、防犯対策として、防犯カメラやスマートロックの導入も検討すべき設備です。鍵の受け渡しがスムーズに行える仕組みを取り入れることで、ゲストの利便性と満足度を高めることができます。
清掃費用
民泊では、ゲストがチェックアウトするたびに部屋を清潔に保つ必要があります。そのため、清掃にかかる費用も運営コストとして見込んでおくことが大切です。
プロの清掃業者に依頼する場合、1回の清掃につき数千円から1万円程度の費用が発生します。定期的に清掃を行うことで、良好なレビューやリピーターの獲得にもつながります。
宣伝・マーケティング費用
民泊を始めても、知られなければ予約は入りません。そこで重要なのが、宣伝や集客のためのマーケティング活動です。
まず、AirbnbやBooking.comなどの宿泊予約サイトに登録する際、手数料が発生します。多くの場合、宿泊料金の3〜15%が手数料として差し引かれる仕組みです。
加えて、SNS広告やSEO対策、ウェブサイトの運営など、オンラインを活用した集客施策にも費用がかかります。競争が激しいエリアでは、広告予算を適切に使いながら、効果的に物件の魅力を伝える工夫が求められます。
保険料
民泊運営では、万が一のトラブルに備えて保険に加入しておくことが大切です。特に、一般的な火災保険や家財保険では、民泊としての運用が対象外になるケースが多いため、民泊専用保険への加入が推奨されます。
民泊専用保険は、ゲストが物件内でケガをしたり、設備に損害を与えた場合の賠償責任をカバーしてくれる内容が含まれており、運営者としてのリスク軽減に役立ちます。年間数万円程度の費用はかかりますが、安心して民泊事業を続けるための必要経費と考えるべきです。
⺠泊のメリット

民泊のメリットについて具体的に解説をしていきます。
1. 副収入の確保
民泊は、空き部屋や未使用の物件を有効活用して副収入を得られる方法として注目されています。
特に観光シーズンなどの繁忙期には、ホテルと同等、あるいはそれ以上の収益が見込める場合もあります。
また、長期賃貸に比べて1泊あたりの単価が高いため、稼働率が高ければ短期間でまとまった収益を上げることが可能です。
2. 柔軟な運営が可能
民泊は、自ら価格や予約スケジュールを設定できるため、繁忙期には料金を上げ、閑散期には割引をするなど、柔軟な運営が可能です。
オーナーの都合で休業することもでき、ライフスタイルに合わせた自由な働き方が実現できます。
副業としても取り組みやすく、特に自宅の一部を活用する場合には高いメリットがあります。
3. 国際的な交流の場になる
民泊では世界各国から訪れる旅行者を受け入れることができるため、異文化交流が自然と生まれます。
ゲストに地域の魅力や日本文化を伝えることで、単なる宿泊以上の価値ある体験を提供できる点が魅力です。
ホスピタリティが高評価に繋がれば、口コミによる集客効果も期待できます。
4. 初期投資が少ない
ホテルや旅館を開業するのに比べ、民泊は初期投資が少なくて済みます。
すでに所有している空き家や空き部屋を活用すれば、新たに物件を購入する必要はありません。
最低限の内装や家具・家電、Wi-Fiなどを準備すれば開始できるため、比較的低リスクでスタートできます。
5. 地域活性化に貢献
民泊を通じて観光客が地域を訪れることで、地元の飲食店や商店にも経済的な恩恵が広がります。
空き家問題を抱える地域では、民泊活用が有効な再利用手段となり、地域の魅力向上や認知拡大にも繋がります。
結果として、地域全体の活性化を促す手段として注目されています。
⺠泊のデメリット

逆に民泊のデメリットについても解説しておきます。
1. 近隣住民とのトラブル
民泊は短期滞在のゲストを繰り返し受け入れるため、騒音やゴミ出しの問題などで近隣住民とのトラブルが発生するリスクがあります。
ルールを守らないゲストによる迷惑行為が原因で、地域住民との関係が悪化するケースもあります。
そのため、ゲストへの事前説明や注意喚起が不可欠です。
2. 清掃・管理の手間
ゲストが入れ替わるたびに、清掃や備品の補充などが必要になります。
これらの作業を自分で行う場合は労力がかかり、業者に依頼すれば追加のコストが発生します。
特に高評価を維持するためには、常に清潔で快適な状態を保つことが求められます。
3. 法規制や許認可のハードル
日本で民泊を行うには、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」や「特区民泊」などの制度に基づき、各種手続きや許認可が必要です。
自治体ごとにルールや必要な設備、近隣への説明義務などが異なるため、事前調査と正しい対応が求められます。
申請に時間や労力がかかるほか、条件を満たさなければ開業できないこともあります。
4. 収入が不安定
民泊は季節や天候、地域イベントの有無などによって、収入が大きく変動します。
繁忙期は稼げますが、閑散期や突然のキャンセルが続くと収益が激減することもあります。
安定収入を確保するためには、価格戦略や集客力の強化が欠かせません。
5. 各種リスクの存在
ゲストによる物件の損傷、近隣への迷惑行為、物件内での事故やトラブルなど、民泊には様々なリスクがあります。
保険への加入や、万が一に備えた対応マニュアルの整備など、リスクマネジメントが重要です。
まとめ
⺠泊は副収⼊の⼿段として⾮常に魅⼒的ですが、適切な物件探し、法規制や許認可⼿続きの確認、快適な滞在環境の整備が必要です。
物件費⽤やリフォーム、設備費⽤など初期投資が⽐較的少ない点が魅⼒ですが、清掃や管理、近隣住⺠とのトラブル対応、収⼊の不安定さなどの課題もあります。
成功するためには、これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要です。しっかりとした計画と準備が、⺠泊運営の成功に繋がります。